地球上で極小型のブラックホール生成の可能性

極小型のブラックホール生成
2008年運転開始の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で、極小のビッグバン再現実験が予定されているが、その過程で極小のブラックホールが生成される可能性を懸念する声もある。 余剰次元理論に基づく計算によれば、LHCの衝突エネルギー(7TeV(7テラ電子ボルト))で極小ブラックホールの生成が不可能ではないとされ、余剰次元理論の検証ができる可能性があると期待されている。ただし、これは理論中のパラメータが、観測から許される限界ぎりぎりの値である場合の結果であり、より穏当なパラメータの場合は(たとえ理論が正しかったとしても)この程度のエネルギーではブラックホールの生成は起こらない。余剰次元モデルが正しくなければブラックホールは生成しないが、生成した場合、ホーキング放射によって,ブラックホールは直ちに蒸発すると考えられている。

落雷等に伴い極稀に発生・目撃されることのある球電現象を説明する、諸説ある理論 (en:Ball_lightning#Analysis.2Ftheories) のひとつにブラックホール説が挙げられている。宇宙線に含まれる陽子等の荷電粒子が雷雲から生ずる電場により大気中で加速され、放射線量が上昇することが原子炉周辺の環境放射線モニタ等により観測されているが、ブラックホールを生成するだけの衝突エネルギーに達し得るかどうかが先ず問われる説と言える。

CERNによると、「宇宙線の中にはLHCよりもエネルギーが格段に高い陽子が存在し、大気の分子と衝突して、さまざまな粒子を生み出している。もし本当にLHCでブラックホールが生成できるなら、宇宙線によってもミニブラックホールが大気圏内で生成されているはずだ。にもかかわらず、地球はブラックホールに呑み込まれていない。」このことを根拠に極小ブラックホールが生成されたとしても、すぐに消滅するものとしている。(ニュートン2008年10月号より)

1908年ロシアの森林上空で起きたツングースカ大爆発の原因を、小型ブラックホールが地球を通り抜けたものとする説が1973年テキサス大学の物理学者らにより提唱されたが、その後にそれでは説明できず現実的ではないとする反論が掲載されている(Nature, 250, 555 (1976))。なお最近、「当時、彼等の説が広く支持されることはなかったが、その後のホーキング放射説により見直されている」 と主張する向きもあるものの、これは無理な主張である。まず第一に、天文学・地質学等の分野でこのような説が見直されている事実はない。また自然科学的にも、宇宙の誕生時に生成したマイクロブラックホールが百数十億年の歳月を経て、たまたま地球の大気圏内を通過している最中にちょうど寿命がきて蒸発するなどと言うのは確率論的にあり得ない。そもそも、観測された事実は小型の天体が空中で崩壊したと仮定すれば無理なく説明できるため、そのような異常に低確率な過程を持ち出す合理的な根拠はない。